自然食品店を始めた理由~“好き”だけで走り出した日々
今、訪問介護の事業所を経営する傍ら、読書術や未来設計の講座を運営している私ですが、この仕事にたどり着くまでの道のりは決して一直線ではありません。むしろ、回り道と挫折の連続でした。その中でも、人生を大きく方向転換させた出来事があります。
それが、私が2005年に始めた自然食品店の経営です。
当時、オーガニック食品はまだ一般的ではありませんでした。それでも私は、自分自身がアトピーだったこともあり、「身体にいいものを届けたい」という想いだけでお店を始めました。取り扱ったのは有機野菜や無添加の加工食品。多少高くても、本当に美味しい、作り手の思いが詰まったものをお客様に届けたいという気持ちが強くありました。
ネット販売にも力を入れ、遠方のお客様から注文をいただくことも増えていきました。徐々に売上は伸び、事業としても拡大の兆しが見えていました。
しかし、その表面上の成長とは裏腹に、経営の根本には大きな問題が隠れていたのです。
売上が増えているのに、利益が残らない:経営の“現実”に直面する
一見、順調に見えていた自然食品店。しかし、実際の経営状況は厳しいものでした。
扱っていた野菜は生鮮食品であり、ロスが発生しやすい分野です。仕入れの量を見誤れば、売れ残った野菜は廃棄するしかありません。自宅で食べると言っても限界があります。利益率はもともと低く、ロスのインパクトは大きい。売上が増えていくほど仕入れも当然増え、売れ残りのリスクは大きくなる。
そして何より、自分の労働時間は増えるばかりでした。朝は6時に起きて仕入れ作業。日中は店を開けて接客。夜はネット注文の処理、ホームページの更新、事務作業。気づけば日付が変わっていることも珍しくありません。
努力すれば報われるはずだと信じて、ひたすら動き続けました。しかし現実は、その努力の量に見合う形で返ってはきませんでした。通帳の残高は増えず、むしろ減っていく。
「このままの働き方を続けたら、10年後の自分はどうなっているんだろう?」そんな不安が、日に日に胸の奥で大きくなっていきました。
震災が追い打ちをかけた~風評被害と葛藤の中で下した決断
経営に悩みつつも、まだ続けようと踏ん張っていた2011年。東日本大震災が起きました。私の店が扱っていた野菜の主な産地は茨城県と栃木県。震災後、放射能に関する風評被害が一気に広がりました。どれだけ検査結果を示しても、どれだけ「安全です」と説明しても、買い控えは止まりません。仕入れた野菜が売れず、ロスが一気に増えました。
作り手である農家さんの思いを知っているだけに、売れ残った野菜を廃棄するのは胸が痛みました。一方で、お客様の不安も理解できる。
「このままでは経営が持たない」そう悟った私は、7年間続けた店を閉める決断を下しました。仕方ないとはいえ、心の中には悔しさや虚しい思い出いっぱいでした。
これは人生最大の失敗だったのか~“失敗の再定義”がもたらした変化
店を畳んだ直後、私はしばらく立ち直れませんでした。あれだけ情熱を注いだものを手放すのは、簡単なことではありません。
「もっと別のやり方があったんじゃないか」
「経営の知識が足りなかったのではないか」
そう思っているうちに、だんだんとうつ状態になり、生活が苦しくなってきました。でも、生活はしなければいけないので、日雇いのアルバイトをしながら再就職活動をする毎日。
当時すでに40歳になっていた私は、履歴書を書いても書いても、面接にすらたどり着けない。本当に追い詰められた時に、「働きながら介護の資格が取れる」という求人広告を見つけ、藁をもすがる思いで応募し、それが今の「訪問介護事業所の経営者」への道につながっているのです。
人生に少し余裕が出てくると、過去の出来事を客観的に見る事ができるようになりました。そこで改めて思ったのが、「お店を閉店させたのは、決して失敗ではなかった。うまく行かなかったからこそ、経営のシビアな面を学ぶことができ、辞めたからこそ新しい道が開けた」ということです。
もし自然食品店が順調に成功していたら、ここまで深く“生き方”について考えることはなかったかもしれません。このブログのような情報発信もしていなかったでしょう。
失敗は、私にとって「次のステージに進むための入り口」だったと気づいたのです。
子どもは転びながら世界を知る~忘れていた“学びの原点”
私たちは、子どもの頃は何度も転びながら歩き方を覚えました。失敗して怒られた経験から、やってはいけないことを学びました。
それなのに、多くの大人はいつからか失敗を恐れるようになります。
周りの目が気になる。
評価されないのが怖い。
できない自分を認めたくない。
でも本来、失敗は学びの中心にあります。「やってみた結果、うまくいかなかった」それが、次の改善や挑戦につながる。自然食品店の経験を通じて私は、子どもの頃に当たり前だったこの“学びの原則”を思い出しました。
失敗は挑戦した証~動いたからこそ見える景色がある
何もしなければ、失敗しません。しかし、何もしなければ、成長もありません。
自然食品店の撤退は確かに苦しい選択でした。けれど、あれは“挑戦したからこそ訪れた出来事”であり、挑戦したからこそ得られた学びや出会いがありました。
世の中には「やって後悔するより、やらない後悔のほうが大きい」と言いますが、私はその言葉の意味を身をもって実感しました。やってしまった後悔は、時間とともに薄れていきます。けれど、チャレンジしなかった後悔は、年を重ねるごとに大きくなる。
だから私は、これからも「やってみたい」と思ったことには勇気を持って進もうと決めています。挑戦に保証はありません。でも、挑戦しなければ見えない景色があることも、私は知っています。
失敗があったからこそ、いまの活動がある~未来設計読書術につながった道のり
私は現在、「未来設計読書術」という講座を展開しています。読書を通じて自分と向き合い、思考を整理し、行動につなげる。ただ知識を増やすのではなく、自分の人生を自分で設計するための実践型プログラムです。
なぜこの講座を作ろうと思ったのか。それは、自然食品店での経験、そして介護の世界に道を見出し、併せて「学びと実践」の考え方を伝えるに至った経験があるからです。
経営での失敗、葛藤、苦しみ、決断。それらを乗り越える中で「人はどうすれば自分で未来をつくっていけるのか」という問いが、ずっと胸の中に残っていました。
私はその中で、もともと好きだった「本を読む」という行為に答えの一つを見出しました。本を読み、言葉と出会い、そこから生まれる問いを持ってまた次の一歩につなげる。その繰り返しが、自分の未来を動かす力になると感じたのです。
いま困難の中にいるあなたへ~未来はいつでもつくり直せる
この記事を読んでいるあなたも、もしかしたら何かに悩んでいるかもしれません。仕事、家庭、健康、人間関係。人生には思い通りにならないことがいくつもあります。
でも、失敗はあなたを否定するものではありません。それは「あなたが挑戦した証」です。そして、失敗の中には必ず学びの種があります。
もし今、「ここからどう進めばいいのか分からない」と感じているなら、一度立ち止まって、自分の内側にある声を聞いてみてください。
「本当はどうしたい?」
「何をやめたい?」
「どんな未来をつくりたい?」
その問いに向き合うための手段として、私は読書をおすすめしています。読書は、他人の経験や思考を疑似体験しながら、自分自身を見つめ直すための優れたツールです。
未来は、いつからでも作り直せます。
今日の失敗は、明日の希望の材料になります。
挑戦したあなたにしか見えない景色が、きっとこれから待っています。
どうか、失敗を恐れすぎずに生きてください。失敗は、人生が動き始めるサインなのです。
あなたの“内なる声”を、行動につながる言葉に変えていく時間へ
失敗や挫折を経て、自分の人生をどう立て直すのか。この記事を読み終えたあなたは、きっとその問いを胸のどこかで感じているはずです。
ただ、私たちはひとりだと「何から始めればいいのか」「そもそも自分はどう生きたいのか」が、うまく言葉にならないまま時間だけが過ぎてしまいます。
言葉にならない思いや葛藤を整理し、未来へ向けた“具体的な一歩”に変える。そのための実践の場が、『セルフコーチング×言語化実践講座』 です。
この講座では、あなた自身の内側にある感情・価値観・願いを丁寧に言語化し、「明日なにをすればいいか」をすぐに決められるようになる“問いの使い方”と“思考の整理方法”を実践形式で身につけます。
この記事で少しでも「自分も人生を整え直したい」「もう一度、未来を描きたい」と思ったのであれば、次の一歩はここから始まります。
あなたの未来のために、今日の気づきをそのまま終わらせないでください。行動につながる“言葉”を手に入れたいあなたへ、下のボタンをクリックして続きをご覧ください。
よくあるご質問(FAQ)
A:失敗は「やってみた結果うまくいかなかった」という経験そのものです。うまくいかなかった理由を振り返ることで、自分の思考や行動の癖が見え、次にどこを修正すればいいかが具体的になります。机上の知識だけでは得られない“体験に根ざした学び”が得られる点で、とても大きな意味があります。
A:まず「落ち込むのは自然な反応」と認めることが出発点です。そのうえで、「ダメな自分」を責めるのではなく、「この出来事から何を学べるだろう」と視点を少しだけ未来側にずらしてみると、気持ちが軽くなりやすくなります。感情と事実を分けて整理することも、前向きに捉える助けになります。
A:いきなり大きな目標を立て直すよりも、「まずは現状を言葉にしてみる」ことがおすすめです。何がつらかったのか、本当はどうしたかったのか、紙に書き出したり誰かに話したりすることで、自分の本音や優先順位が見えてきます。そのうえで、「今日できる小さな一歩」をひとつ決めることが、再スタートの力になります。
A:大きな決断だけでなく、日々の小さな選択の場面で「後から振り返ったとき、どちらを選んだ自分に納得できるか?」と自分に問いかけてみることが役に立ちます。また、「完璧にやる」より「まず試してみる」と考えることで、挑戦のハードルが下がり、後悔の少ない選択がしやすくなります。
A:失敗を「なかったこと」にするのではなく、自分のストーリーの一部として捉え直すことが重要です。「あの経験があったからこそ、何を知り、何を大切にしたいと思うようになったのか?」を言語化しておくと、その後の選択基準が明確になります。その基準に沿って行動を選ぶことで、失敗は“軸をつくる材料”へと変わっていきます。
