肩書きが通用しない時代に生きる私たちへ
「会社の看板に守られているけれど、この先も安心できるのだろうか?」
「転職や副業が当たり前になった今、私自身の強みって何だろう?」
そんな不安を感じたことはないでしょうか。
私は十数年、介護の現場に身を置きつつ、平行して速読講座などの学びのコンテンツを発信してきました。その過程で気づいたのは、「会社名や肩書きが通用しなくなった時代に、最後に残るのは“自分という個人”である」という現実です。
この記事では、私の経験を交えながら「パーソナルマーケティング」という考え方を紹介します。これは芸能人やインフルエンサーだけの話ではありません。誰にでも必要で、誰にでも取り組める、これからの時代を生き抜く大切な力です。
「どこに所属しているか」から「誰か」で選ばれる時代へ
かつては「◯◯株式会社の△△さんだから信頼できる」といった“組織の信用”が優先される社会でした。会社名が信用の担保となり、名刺を差し出すだけで相手から一目置かれることも多かったはずです。
しかし今や状況は一変しました。転職は当たり前、副業解禁で複数の仕事を持つ人も増え、フリーランスやリモートワークが一般化しています。もはや名刺に書かれた肩書きや会社名は万能の信用証明ではなくなったのです。
むしろ大切になってきたのは、「あなたはどんな人で、どんな価値を提供してくれるのか」という問いに答えられるかどうか。つまり、「どこに属しているか」よりも「どんな人か」で選ばれる時代に、私たちは生きているのです。
手書きの「自分通信」で広がった信頼
ここで少し、私自身の体験談をお話しします。
私は今でこそ訪問介護の事業所を運営していますが、以前は別の事業所で「サービス提供責任者」という立場にいました。サービス提供責任者、通称“サ責”は、ヘルパーをまとめるマネージャーのような役割です。
営業先は利用者さん本人ではなく、利用者を紹介してくださる“ケアマネージャー”でした。ところが介護業界では、法律上できることが細かく定められているため、事業所ごとのサービス内容には大きな差がありません。言ってみれば、どのコンビニも同じように品揃えが似通っているようなもの。
この状況で「どうやって自分を選んでもらうか?」が大きな課題でした。
そこで私は考えました。サービスが同じなら、残る差は“人間”そのものではないか、と。そこで思い切って営業方法を変えたのです。
最初は他の事業所と同じように挨拶に伺いました。しかし、その後はあえて手書きの手紙を送りました。1通目は短い挨拶程度、2通目からは「これまでどんな施設で働いてきたか」「介護という仕事にどんな思いを持っているか」を個人的な視点で綴りました。
さらに毎月1回、エッセイ風の個人通信を作って手渡しするようになりました。内容は事業所の宣伝ではなく、私・渡辺篤志という“人間”を知ってもらうためのもの。
すると驚くほど反響があったのです。
「そういえば、あの人熱心だったな」
「人柄が伝わって安心できる」
そんな声が増え、新規の依頼が次々と舞い込みました。
何より嬉しかったのは、「誰にお願いしようかな…あ、渡辺さんがいた!」と思い出していただけるようになったこと。
これこそが“個人の名前で選ばれる”という実感でした。
3. 誰にでも必要な「パーソナル・マーケティング」
「それって営業職やフリーランスの話でしょ?私は普通の会社員だし…」と思われる方もいるかもしれません。けれどもこれは、すべての人に関わるテーマです。
たとえば営業職であれば、「◯◯社の製品だから」ではなく「●●さんから買いたい」と言われる営業マンは、会社が変わっても独立しても選ばれ続けます。
また、経理や事務のように表に出ない職種であっても、社内外から「あの人と仕事がしたい」と言われる人は重宝されます。なぜなら、人は「信頼できる人」「安心して任せられる人」と一緒に仕事をしたいからです。
そのために必要なのが、「自分の価値観や想い、経験を自分の言葉で伝える力」なのです。これこそがパーソナル・マーケティングの本質です。
芸能人に学ぶ「自己ブランディング」の力
この話をすると「まるで芸能人みたいですね」と言われることがあります。まさにその通りです。芸能人は「自分自身を商品にしている存在」です。どんなキャラクターで見られたいか、どんな言葉を発信するかを徹底的に設計しています。
たとえば木村拓哉さんは「常にキムタクらしいキムタク」を演じ続けている、とよく言われます。それは意識的な自己ブランディングの結果です。
私たちが芸能人のように振る舞う必要はありませんが、「自分はどういう人として覚えられたいのか」を考え、日常的に発信することは誰にでもできます。
テレビやSNSを見るときに「この人はどういう個性で売っているのだろう?」「どんな価値観を伝えているのだろう?」と意識してみるだけでも、多くの学びがあります。
今すぐ始められる小さな一歩
「パーソナルマーケティングなんて大げさだ」と感じる人もいるでしょう。けれども実際にやることはとてもシンプルです。
- 自分の経験や想いを言葉にしてみる
- 誰かに向けて「自分通信」を発信してみる
- 小さな共感をコツコツと積み重ねる
SNS、ブログ、ニュースレター、あるいは手書きの手紙でも構いません。大切なのは、自分という人間の中身を伝えること。「私には語ることなんてない」と思っている方こそ、実は一番語るべき物語を持っているのです。
「無名の個人」にこそ可能性がある
これからの時代、組織が守ってくれるとは限りません。けれども逆に言えば、誰もが“自分という存在”で選ばれる可能性を持っています。大事なのは、名刺に書かれた肩書きではなく、名刺がなくても思い出される存在になること。
今こそ、自分を語り、自分を表現し、自分を信じて行動することが求められています。あなたも今日から「名刺のない肩書」を育ててみませんか?
学びを“行動”につなげるために──速く・楽に読む力を身につけよう
この記事では「肩書きではなく、自分自身で選ばれる時代」に必要な考え方をお伝えしました。けれども、自分の経験や価値観を伝えていくためには、そもそも日々のインプット=読書を効率的に行う力が欠かせません。
忙しい毎日の中で本を速く・楽に読みこなし、必要な知識を確実に吸収することができれば、あなたの言葉はもっと力を持ちます。
そこで今回、「本を速く・楽に読むための3つのポイント」をまとめた無料動画コンテンツをご用意しました。実演を交えて「文字をかたまりで捉える」「視野を広げる」「視点の移動を速める」という3つの方法をわかりやすく解説し、すぐに実践できるワークも付いています。
今すぐ体験して、あなた自身の“学びの質”を一段高めてみませんか?
よくあるご質問(FAQ)
A:パーソナルマーケティングとは、会社や肩書きに依存せず、「自分という個人の価値」を伝えて選ばれるための戦略です。自己ブランディングや発信を通じて「この人と一緒に仕事がしたい」と思われる存在になることを指します。
A:はい。営業やフリーランスだけでなく、事務や経理などの裏方の仕事をしている人にとっても重要です。なぜなら、社内外で「信頼できる人」と思われることが、キャリアを広げる力になるからです。
A:自分の経験や価値観を言葉にして発信することが第一歩です。SNSやブログ、手書きの手紙でも構いません。小さな共感の積み重ねが「個人として選ばれる力」を育てます。
A:著者自身の経験として、介護業界で「自分通信」という手書きのエッセイを届けることで信頼を獲得し、個人の名前で依頼をいただけるようになった事例があります。これはサービス内容が同じでも「人」で選ばれた好例です。
A:(1)自分の体験や想いを簡単な文章にまとめてみる、(2)SNSやブログで「自分通信」として発信する、(3)一度発信したら継続して小さな共感を積み重ねる。この3つを実践することで「無名の個人」が「選ばれる存在」へと変わっていきます。
