ワークライフバランスは常に正解か?
「ワークライフバランスを大事にしよう」──ここ十数年で、働き方の議論に必ずといっていいほど登場する言葉です。
長時間労働を避け、余暇や家族との時間を充実させること。これはもちろん大切な考え方ですし、過労や健康被害を防ぐ意味でも、多くの人にとって必要な概念でしょう。
しかし、私はここに一つの問いを投げかけたいのです。「本当に、人生のすべての時期において“バランス”が最優先なのか?」
若い時期からバランスを整えることに注力しすぎると、将来の選択肢を狭めてしまう可能性はないでしょうか。逆に、ある時期に集中して仕事へ全力投資することで、その後の人生が格段にラクになるというシナリオもあるのではないでしょうか。
この記事では「ワークライフバランスをどう考えるべきか」を、人生のリズムや戦略という視点から深掘りしていきます。
人生には山と谷がある
人生は常に平坦ではありません。谷の時期があり、そこを抜けると山の登り坂に差し掛かります。
この「上り坂に差し掛かった時期」こそが、全力を注ぎ込むべき瞬間だと私は思います。山に登るとき、序盤で歩みを緩めてしまえば、その山は低くしか見えなくなってしまうでしょう。しかし序盤からアクセルを踏み込み、120%で挑めば、より高い頂に到達できるのです。
この局面で「疲れない程度に」「バランスよく」などとセーブしてしまうと、せっかくの上り坂の価値を自ら小さくしてしまうことになりかねません。
若い時期に全力投資する意味
特に20代、30代は「仕込み期」と呼べる時期です。スキルを吸収する速度も速く、体力もまだ十分にあります。この時期に全力で仕事に取り組んだ人と、バランスを重視して7〜8割の力で過ごした人とでは、40代以降に圧倒的な差がつくのです。
全力で仕事に投資した人の未来
- 若くしてハードな経験を積むことで、スキルも実績も厚みを増す
- 転職市場でも評価され、年収も高まりやすい
- 社内でも責任あるポジションを任されやすい
- 40代に入ってからは、自分の裁量で「ライフ」に比重を移せる
バランスを優先した人の未来
- 経験値が乏しく、30代後半以降のキャリア形成が難しい
- 転職市場での武器が弱く、選べる仕事が限られる
- 昇進や昇給のチャンスを逃しやすい
- 子育てや家庭の事情で急に働かざるを得なくなり、逆にバランスを崩す可能性がある
つまり、若い時期にどれだけアクセルを踏めるかが、その後の20年、30年を左右するといっても過言ではありません。
ワークライフバランスを意識すべきタイミング
もちろん、人生すべてを仕事に捧げよ、と言っているのではありません。重要なのは 「いつバランスを取るか」 です。
結婚や出産、子育てといったライフイベントが訪れたときこそ、「ライフ」に大きく舵を切るべきタイミングです。このときに、若い頃に積み上げた「貯金(お金・スキル・経験)」が効いてきます。
- 経済的な安定があるから、子どもとの時間を大切にできる
- スキルと実績があるから、仕事をセーブしても信頼を維持できる
- 自分に選択肢があるから、バランスを柔軟に調整できる
逆に若い頃に頑張り切れなかった場合、この時期に「今さら全力投球」を強いられてしまうのです。子育て中なのに残業漬け、休日返上──そんな矛盾を抱えるのはつらいものです。
人生のリズムを意識する
ここまでを整理すると、次のような人生戦略が見えてきます。
- 20代〜30代前半:仕込み期。がむしゃらに働き、スキルと経験を積む
- 30代後半〜40代:成果を享受する時期。裁量を持ちながらワークとライフの比重を調整
- 50代以降:人生の総合力を発揮。働き方の選択肢を広げ、ライフにシフトする
つまりワークライフバランスとは「常に同じ比率で保つもの」ではなく、「時期によって変化させるもの」なのです。このリズムを理解しておくことで、焦ることなく、また怠けることなく、自分のペースでキャリアと人生を築いていけます。
自分に問いかけてみましょう
ここで少し立ち止まり、あなた自身に問いかけてみてください。
- 今のあなたは「山を登り始めた時期」でしょうか? それとも「一息つくべき時期」でしょうか?
- 今、全力で投資しておくべきことは何でしょうか?
- 将来のために、どんな「貯金(お金・スキル・経験)」を積み上げたいでしょうか?
こうした問いに答えることが、あなたにとって最適なワークライフバランスの形を見つける第一歩になります。
まとめ:戦略的にバランスを取る
ワークライフバランスは、常に「残業を減らす」「早く帰る」ことと同義ではありません。それはもっと長期的で、戦略的な視点で捉えるべきものです。
若い時期にがむしゃらに走ることは、決して悪ではなく、むしろ将来のバランスを支える大切な投資。そして人生のステージが変わったときには、勇気を持って「ライフ」を優先する。
この柔軟な視点こそが、結果として本当の意味での「持続可能なワークライフバランス」につながるのだと思います。
次の一歩:学びのスピードを高めよう
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よくあるご質問(FAQ)
A:いいえ。人生には山と谷のリズムがあり、上り坂に入った「勝負どき」は意図的にワーク比重を高めるのも戦略です。長期で見れば、その後のライフ重視を可能にする“先行投資”になります。
A:吸収力と体力が高い時期にスキル・実績を集中的に積むと、市場価値が上がり、40代以降は裁量を持って働き方を選びやすくなります。結果的に「持続可能なバランス」を取りやすくなります。
A:新しい大きなチャンスが来た、成長曲線が上向いた、信頼できる支援体制がある——などはアクセルを踏む合図です。期間を決め(例:6〜24カ月)、健康指標と睡眠・休息のルールだけは死守します。
A:役割の棚卸し→優先順位の再設計→柔軟な勤務・委任・自動化の導入、の順で調整します。若い時期の「貯金」(スキル・実績・蓄え)を使って、仕事量と責任の波をならします。
A:期限付きの集中設計(OKR/マイルストーン)、週1の回復デー、睡眠の固定化、負荷の周期化(4〜6週でデロード)、メンター/医療の早期相談窓口を用意。学び効率を上げる読書術・情報処理術も併用します。
